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地域人材インタビュー2024 ~ 中島氏(釧路市)

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学校も行政も、自社も他社も、皆が元気な釧路になるDX
――釧路市DX推進ラボ
【インタビュイー】
一般社団法人釧路地域DX推進協会 会長
株式会社サンエス・マネジメント・システムス 常務取締役
中島秀幸氏
【活動内容】~産学官金連携で地域がかかえるさまざまな課題を解決

釧路市DX推進ラボの活動は、IT産業の活性化とデジタル技術で釧路地域のさまざまな課題を解決すべく、釧路地域DX推進協会と連携して展開しています。また同協会は、産学官金の連携を基盤とし、地域企業への伴走型DX支援とデジタル人材の育成に取り組んでいます。

さらに、地元金融機関との協力を強化し、デジタル化・DX推進に関心のある企業を金融機関の職員と共に訪問。企業ごとの課題を丁寧に把握し、解決策の提案・支援を実施しています。

釧路市DX推進ラボの代表で釧路地域DX推進協会の会長を勤める中島秀幸氏は、「自分が生まれ育った釧路を、DXで元気にしたい」という思いで、釧路市地域の皆さんと一緒に日々、DX推進ラボの活動に取り組んでいます。

中島氏は釧路市内のIT企業・株式会社サンエス・マネジメント・システムス(SEMS)の役員として経営に携わりながら、DX推進ラボのほかにも、人材育成や企業支援など多岐にわたるDX推進活動に参加しています。例えば学校の教育現場や行政、企業をつなぐ活動「ラポールくしろ」、企業や行政のDX推進支援をしている「北海道ITコーディネーター協議会」などです。

釧路地域DX推進協会のメンバー
釧路地域DX推進協会のメンバー
【モチベーション】~釧路の皆が成長していけるDX推進

中島氏の「産学官連携でさまざまな地域課題をITで解決しよう」という活動は、釧路地域DX推進協会の前身である釧路ITクラスター推進協会時代から入れると20年になります。

「釧路地域のIT産業を発展させたい」と釧路ITクラスター推進協会を2004年に設立したのが、SEMSの代表取締役である宮田昌利氏です。中島氏は最初、事務局としてかかわっていましたが、設立から10年後に同協会の会長を承継。そして今にいたります。

中島氏がかかわるさまざまなDX推進活動は、いずれも「われわれは民間企業なので、ボランティアではなく、事業があってこその活動」「自社のビジネスに直結すること、そして自分自身の成長にもつなげられること」であると考えます。SEMS自身のミッションが、「IoTAI、ビッグデータといったデジタル技術を活用して新たな価値創造を通じて、より良い商品サービスを提供し、お客様と地域の課題解決をする」ということで、人材育成も含むDX推進活動が、同社のビジネス存続のための活動にもなっています。

例えば、ラポールくしろは、DX推進ラボとは異なる組織による活動ではありますが、中島氏の思いや目的は、どの活動においても変わりません。元学校教員である幸村仁氏が理事であり、中島氏が監事を務めるラポールくしろは、学校、行政、企業が連携し、中高生向けのICT教育プログラムの開発から教育現場の働き方改革まで、地域の教育にかかわる課題に多角面で取り組んでいます。2023年に、「家でも学校でもない子どもの新しい居場所」として「Digital Station デジラポ」をオープンしています。子どもたちは、施設内の3DプリンターやPCを無料で利用することができます。またプログラミング体験会やeスポーツ大会などのイベント会場にもなっています。

子どもたちのICTへの興味喚起やスキル向上につながることはもちろん、「この活動を通じて地域企業と子どもたちをうまくマッチングさせたい。子どもたちであれば『こんな会社があるのか』、企業なら『自社の技術が地域の課題解決につながった』といった気づきや体験を、この場所からどんどん生み出していこうとしています」と中島氏は言います。ラポールくしろの運営には、子どもの保護者たちや、不登校児の支援団体などもかかわっているそうです。ここにかかわるIT企業は、そのような地域の課題の中にいる人たちと直接対話することが多くなります。

このように、中島氏のDX推進活動においては、「釧路に住む子どもから大人まで、行政も学校も、そして自社も他社も、そして自分自身も、皆が元気に成長し続けられること」、そして「皆にとって住みやすい地域として釧路が発展していくこと」を理想として掲げています。

【成果】~産学官金連携での支援活動による事例創出

釧路市DX推進ラボの活動を通じて、地域内のDX支援機関連携体制が構築されつつあるそうです。「地域の金融機関を中心にした支援機関が、この活動に積極的に関わってくださっています。DX認定を取得する信金さんも出てきました」と中島氏は述べます。

2024
年度は、下記の3つの視点で、産学官金連携での支援活動に取り組んでいます。

・経営者向け:2回のセミナー実施
・社内デジタル人材育成:2回のセミナー実施
・支援者育成

支援者育成研修の様子
支援者育成研修の様子
【エピソード】~まず自分から動く

DX推進活動で悩ましいことについて、中島氏は「やるべきことがたくさんあり、時間が足りないこと」だと話します。

「当然、私1人では不可能なので、DX推進にかかわる皆さんと一緒にやっています。皆さんにとってある程度有益な活動であることは間違いないのですが、『いかに協力者を増やしていくか』『参加してくださる方々が、モチベーションをいかに高く保ち、組織を維持していくか』など、やはり大変なことだと思います」。中島氏はとにかく「まず自分から動く」ことを徹底しているそうです。

【未来のビジョン、展望】~DX取り組み企業・DX支援機関コミュニティー・ITベンダー」体制を強化

2025年度は、2年に1度の「くしろデジタルEXPO」も開催予定です。2023年のEXPOでは、DXを実践する企業による講演も行っています。「DXの取り組みとしてはたとえ小さくても、『DXをやって、こんなに会社がよくなった』『明るい未来が見える』というきっかけをたくさん作りたいと思っています。さらに、それを見た他の企業が『自社でもDXをやってみよう』と……、そういう感じでDXが広まっていったらいいな、と」(中島氏)。

そして、こうした動きが、SEMSを含む地域のIT企業にもビジネスを呼び込むことになります。「DXに取り組む企業が増えれば、IT企業の仕事にも直結します。お客様とそれを支援するIT企業側も一緒にレベルアップして取り組む。それを支援する人たちもどんどん増えて、実績が増えれば、さらにレベルアップできる。そういう地方都市のモデルになれる活動をしていきたいと思ってやってきたのが2024年度です」(中島氏)。

中島氏は、今後も変わらず DX取り組み企業・DX支援機関コミュニティー・ITベンダーという体制をより強くし、伴走型DX支援とデジタル人材に邁進していくとのことです。「コミュニティーが広がり、DXを推進する企業が増えていくごとに、支援者も自然と増えてくる」という状態を目指します」。次年度は、「DX支援者としてITコーディネーター資格者が増加するのではないか」と期待しているということです。

【インタビュイーからのメッセージ】

この1年、DX推進において、金融機関とのかかわりはDX推進における1つの重要なポイントであると、あらためて気づきました。地域の中小・零細企業と多くコンタクトを取っているのが金融機関だと思います。例えば、金融機関の営業さんが、デジタルやITの知識がある程度あった上でお客様の相談に乗れると、地域のDXを進める上で有利なのではないかと思います。

【ラボ概要】

産学官金が連携する一般社団法人釧路地域DX推進協会と連携し、各機関からの情報共有を行い、地域企業のDX推進支援やDXモデル事例の創出、地域内におけるデジタル人材育成などの事業を展開しています。

【問い合わせ先】

釧路市DX推進ラボ事務局(staff@ksr-it.net)
一般社団法人釧路地域DX推進協会(釧路地域DX推進協会
一般社団法人学校地域協働センターラポールくしろ(一般社団法人 学校地域協働センター ラポールくしろ)
デジラポ(デジラポ - みんなが行き交う街の駅)
株式会社サンエス・マネジメント・システムス(
株式会社サンエス・マネジメント・システムス)




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