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「ティーチングって何?」 ゼロから始めるロボット入門でDXへの第一歩を――静岡県DX推進ラボ

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静岡県DX推進ラボ(以下ラボ)は、静岡県産業振興財団を事務局とし、静岡県工業技術研究所 (以下静工技)機械電子科が実働部隊を担っています。これまで実施してきたIoT機器導入の推進活動を通じて、ロボットによる自動化および生産性向上への取り組みを課題としている企業の声の多さから、ロボット導入に対応できる人材を育成する講座を企画して開催しました。静岡県が取り組む「ふじのくにロボット技術アドバイザー」に所属するアドバイザーである窪寺恒二氏と、都内IT企業であるTechShare株式会社と共に、2023年6月および12月にロボットティーチング講座を開催しました。また、静工技に整備した静岡県IoT推進ラボの展示室では、同年12月の第5期更新で、産業用ロボットの稼働展示を実施しています。

ロボットの展示

さらに、静岡県はDXに関する企業間の交流促進やビジネスマッチングを生み出すイノベーション拠点である「SHIP」を2023年3月に開設しました。ビジネスにかかわる方々が打ち合わせや商談、セミナーなどで対面にて交流できるオープンスペースやセミナースペース、会議室などを提供しています。

イノベーション拠点 SHIP

ロボットを使いたいが、何をどうしたらいいか分からない

これまでの静岡県工業技術研究所におけるIoT導入支援を通じて、まずロボット導入を考える多くの企業自身が、「一体、何をすればいいのかよく分からない」、さらに「その導入効果もよく分からない」という悩みを抱えていることが浮かび上がっていました。

ロボット導入に関しては、中小製造業の方々の相談が最も多く、次いで農業関連の企業からの関心の高さもうかがえるとのこと。農業では、農薬散布や農産物の監視、出荷品の仕分けといったところでロボットの活躍のニーズがあるのではといわれているそうです。

中小企業がロボット導入を検討しようとする際、社内に識者がおらず専門外の人が本業の傍らで一から調べて取り組むしかない、あるいは外部企業に相談しようとしても予算に見合わない見積提示になってしまう、あるいは言葉や基本的な技術がよく分からず導入時の要件定義すらままならないといった問題が起こり得ます。そういった問題に対処していこうと、「ロボット導入ができる人材育成」を目標としました。

ロボット初心者の中小企業に、ロボット識者たちがやさしく教える

まず、ラボ展示室でロボットの常設稼働展示を実現し、導入を検討する企業が自分のタイミングで気軽に訪れて、実機やシステムを試すことができるようにしました。さらに、ロボット導入できる人材育成の講座を企画・開催しました。

ロボット講座の様子

講座の企画は、 静工技機械電子科自身のこれまでの活動が有意義に生きる形としました。まず同科でIoT機器の導入支援や講座の経験があったことと合わせ、さらに静岡県のロボットアドバイザーの窪寺氏と、IoT支援活動を通じて縁があったTechShare社に、企画段階から入ってもらって企画できたこともアドバンテージとなりました。

静岡県が実施している「ふじのくにロボット技術アドバイザー」は、中小企業の製造現場などを巡回訪問し、ロボット導入に関する相談や提案、ロボットシステムインテグレータへの橋渡しを行うサービス。今回の講座では、かつて静岡市の自動車部品製造会社で長年の勤務経験を経てアドバイザーとなった窪寺恒二氏が協力しました。

企画にあたっては、企業がロボットを導入するにあたり、「どのようにすればスムースにいくのか」「阻害要因は何か」ということを念頭に置き熟考。やはり、ロボットを導入する上での初めの一歩ともいえるティーチング(ロボットの動作設定や学習)のところの基本知識から問題を抱える方が多そうだということ。非ITの現場からの相談が多い実情も受け、Pythonなどプログラムをしたことがなく、ティーチングと言う言葉すら初めて聞くといった、ロボットやITに詳しくない人でも参加できる内容としました。

この講座は、ロボットのティーチングから動かしてみるまでを自分たちで体験する内容になっていました。プログラミングにおいては、初心者でも理解しやすいノーコードツールを使用しました。参加者の知識レベルにはばらつきや幅があることも考慮し、少人数制かつ複数の講師で丁寧にフォローする体制を取りました。実習時には講師が参加者のそばに付き、学習中のつまずきにすぐに対応できるようにしました。

講座の告知は静岡県や静工技、静岡県産業振興財団のWebサイトや、関連組織や研究会などの協力によるフライヤー配布などを実施。参加者数は2023年6月が14人、同年12月が7人。集客は順調であったということです。参加者の方は、企業内でDXやロボットの推進実務にかかわる方で、講座がメインターゲットとしていたレベルのロボット初心者の方が多くを占めていました。難易度についても、「ちょうどよかった」という感想が寄せられました。講座に参加した方の中には、その後、ロボットを自社で購入した方もいました。

ロボット基礎の他に、GXや、農業、物流も

来年度も、好評だったロボットティーチング講座を引き続き提供していきます。さらにこれまでとはレベルの異なる講座も企画して開催していくということです。ゆくゆくは、中小企業でも関心が少しずつ集まる協働ロボットの導入にも対応していきたいそうです。
また、講座のテーマとしては2024年度(令和6年度)以降に、GX(グリーントランスフォーメーション)や、農業、物流といった分野に拡大する計画です。

 

 


静岡県DX推進ラボでは、伴走型の現場実装支援講習による人材育成、常設稼働型の「展示体験室」による最新のIoT関連機器・技術の体験を行うことができ、イノベーション拠点「SHIP」では、企業間の交流促進やビジネスマッチングを推進しています。随時、DXに関する相談を受け付けており、相乗効果で県内中小企業に寄り添った支援活動を実施しています。

展示体験室

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問い合わせ先
静岡県工業技術研究所 
機械電子科
〒421-1298 静岡市葵区牧ヶ谷2078
tel 054-278-3027  fax 054-278-3066
sk-kd@pref.shizuoka.lg.jp

 

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