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中小企業の想いをデジタルで具現化するための5ステップ――札幌市イノベーション推進コンソーシアム

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札幌市イノベーション推進コンソーシアムは、産学官連携組織として、札幌市内の中小企業に対するDX推進支援を実施。DXの普及啓発やDX推進人材の育成、伴走型相談支援、市内IT企業との協業機会の創出、費用負担軽減を目的とした補助制度など各種支援を一気通貫で実施することで、市内の中小企業らがDX推進にあたり抱えている複合的な課題解決をトータルで支援できるような体制を整えています。

コロナ禍及び人口減少に伴うDXの加速

2020年になって新型コロナウイルス感染症の流行が開始したことをきっかけとして、デジタル技術の活用が社会全体で急速に進展。企業の経済活動においても、さまざまな場面でデジタル化への対応が求められるようになり、企業が競争力を維持・向上していくにあたってデジタル化・DXの推進が従来以上に求められるようになりました。

札幌市の人口は、高度経済成長期における都市部への人口集中を経ながら戦後以降増加を続けていました。しかし2021年になって初めて人口減少に転換。経済活動を支える生産年齢人口(15歳~64歳)は、2060年までに4分の3程度に縮小する見通しであるとのことです。

また労働力不足の深刻化が予想される状況で、中小企業が競争力を維持・強化していくためには、DXによる労働生産性の向上や新たなビジネスの創出が重要ですが、「人材不足」「予算の確保が難しい」「具体的な効果や成果が見えない」「何から始めてよいかわからない」などさまざまな課題(※)が阻害要因となって多くの企業がDXに取り組めていない状況であったため、企業がDXに向けて一歩ずつ取組を進めていけるよう、それぞれの課題に対応した施策に取り組み始めたということです。

※独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)」
https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202310_DX_report.pdf


「普及啓発」「人材育成」「伴走支援」「協業創出」「補助制度」の5ステップ

札幌市イノベーション推進コンソーシアムでは、次の5本柱の活動を中心にDXを推進しています。

  • 普及啓発
    DXに取り組む必要性が分からないという企業に向けて、DXの優良事例を紹介しながらその効果や取り組む意義などを解説する普及啓発セミナー(DXイノベーションセミナー)を開催
  • 人材育成
    DXを進める人材を社内で育成したいという企業に向けて、DX推進の具体的なプロセスが学べるワークショップを実施
  • 伴走支援
    社内人材だけでDXを進めるのが難しい企業に対してアドバイザーを派遣することで、DX実現に向けた一連のプロセスの伴走支援を実施
  • 協業創出
    DXを進めたい企業に向けて、それを実現するパートナー(IT企業)を見つけることを目的とした「DXビジネスマッチング」を開催
  • 補助制度
    デジタル化投資やソリューションの開発における企業の費用負担を軽減するため、複数の補助制度を提供

これらの支援を一気通貫で実施することで、「DXを進めるパートナーがいないうえ費用負担も重荷と感じている」といった複合的な課題を抱える企業についても、支援制度を組み合わせて活用してもらうことで課題解決に成功した事例も生まれているとのことです。

さっぽろDXイノベーションセミナーの様子

札幌の企業の想いの具現化に貢献

その事例の1つが、札幌を中心とした道内各地のスイーツの魅力を知っていただくためのスマートフォンアプリ、「スイーツ王国さっぽろアプリ」です。

―スイーツ王国さっぽろブランドを活用した情報発信や洋菓子に対するロイヤリティ向上の実現に加えて、札幌市内の洋菓子店におけるDXを推進したい。―

スイーツ王国推進協議会は、そのような想いを抱いて2021年に開催されたDXビジネスマッチングに参加。そこで出会ったIT企業とともに、想いを具現化するための方法として「スイーツ王国さっぽろアプリ」を考案しました。その翌年、札幌市が提供する補助制度に採択されて開発がスタートし、2023年6月に無事リリース。今では、札幌市民をはじめとした多くの方に利用されているそうです。

スイーツ王国さっぽろアプリ(運営:スイーツ王国推進協議会)
アプリに加盟している店舗のメニューや新着イベント、位置情報を確認できるほか、デジタルスタンプカードを貯めることで店舗ごとに異なるこだわりの特典を受けることが可能

札幌市イノベーション推進コンソーシアムでは、このような取り組みを単なる個別の企業支援に留まらないようにするため、スイーツ王国推進協議会など施策を活用してDXを実現した企業・団体に、セミナーの場で一連のプロセスや今後の展望などについて発表してもらい、更なる普及啓発を行うことで、「DXの実現と成功事例の発信に伴う普及啓発」のサイクルを構築しているということです。

IT技術を活用する企業が10年間で20%以上増加

2023年中での取り組みも含み、これまで施策に取り組み続けてきた結果として、経営改善を目的としてIT技術を活用する企業が10年間で20%以上増加(※)するなど、市内企業におけるデジタル化・DXが進んでいるということです。
※出展:札幌市企業経営動向調査

市内企業の競争力向上に向けて

先に述べた札幌市における人口減少に加えて、物流業界の2024年問題や「2025年の崖」など、今後の企業活動ではさまざまな問題が多数存在しています。これらの問題に対応し、企業の競争力を維持・向上していくためには、これまで以上にデジタル化およびDXが重要となってくることから、これからもコンソーシアムの活動を通じて、産学官が三位一体となって尽力していくということです。

 

 


札幌市イノベーション推進コンソーシアムは、AIやXRなどの先端技術の活用、他分野との融合によるイノベーション創出とエコシステム構築を行っています。それとともに、市内中小企業などにおけるDXを推進することによって、地域の経済発展とウェルビーイング向上を実現するために活動している産学官連携組織です。本コンソーシアムでは、傘下に複数の専門部会を設け、部会ごとに専門メンバーが中心となって、具体的な事業を企画立案・実行しています。

専門部会の1つである「DX推進部会」では、部会長である平本健太氏(北海道大学経済学研究院教授)の下、DXの普及啓発やDX推進人材の育成、伴走型相談支援、市内IT企業との協業機会の創出、デジタル化・DX推進に向けた補助制度などの各種支援を一気通貫で実施しています。

札幌市イノベーション推進コンソーシアムの取組みはこちら

問い合わせ先
札幌市イノベーション推進コンソーシアム事務局
(札幌市経済観光局経済戦略推進部イノベーション推進課)
TEL:011-211-2379
 

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