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IoTでものづくり中小企業の努力を収益に直結、地元企業の未来も拓け!――直方市IoT推進ラボ

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直方市IoT推進ラボの事務局を担う直方市は、先進的IT技術を活用した課題解決に関する実証事業を支援する補助金制度を令和2年度から令和4年度まで実施しています。この制度は世界的なパンデミックが発生するような不確実性の高い社会において先進的IT技術を活用した課題解決の取り組みを推進するために企画しました。

今回紹介するのは、同制度を活用した直方市内の直方精機株式会社による取り組みです。直方精機は主に自動車関連の部品および金型の製造に携わっています。プレスや溶接、表面処理などさまざまな工程を、外部パートナー企業と協調しながら行っています。

同社では、工場で稼働する工作機械の稼働状況をリアルタイムに経営者が把握できるIoTシステムの開発と実証を行いました。この仕組みは、既存設備をリプレイスすることなく、後付けでシステムを実装したことも大きな特色です。

この事例では、生産現場において過剰な在庫を抱えずに、効率的な生産を行うための仕組みを作ることと、経営者が経営判断を迅速かつタイミングよく行うための情報を的確に把握するための仕組みを作りました。

この事例は同社社長である藤永勝巳氏が過去に大学院で学んでいた当時に執筆した論文「内的成長要素の追求による価値創造」をベースにして、実証事業の計画を構築しました。

現場の皆の努力と知恵を収益に直結させたい

かつて藤永氏は、大手企業から発注を受け、「顧客から指示されるQCDに従ってモノを収めていけば、この先も食べていける」といった考え方にも疑問を感じていたといいます。自分たちが提供する価値について自らが定義できなければ、顧客があくまで自社の都合で考えるQCDを頼りに、自分たちでは未来の見通しが立てられないままずっと仕事をしていかなければならなくなってしまいます。また経験や勘だよりの仕事では、自分や皆の努力や知恵がなかなか収益向上に直結しづらいと藤永氏は考えていました。

大学院で経営について学ぼうと奮起したのも、そうした従来の日本の中小企業におけるものづくりらしい仕事のやり方への疑問がきっかけであったそうです。直方精機では、藤永氏がそうした課題に真摯に向き合って論文で考察した、中小ものづくり企業が収益向上を実現するための考え方の具現化をしたいと考えていました。

直方市産業建設部商工観光課産業イノベーション推進係の米澤隆司氏は、藤永氏からそうした相談を受け、二人で試行錯誤をしながら、具体的にはどういう活動をすればよいのか議論と検討を重ねました。さらにその計画に、直方市内の企業数社に参画してもらうことにしました。藤永氏と米澤氏は、この取り組みをぜひとも成功させて、直方市内の企業に横展開しようと考えたからです。

現場にいる人や工作機械の状況は、その場にいない人には、現場から報告がない限りはすぐに把握できない――、これまでのモノづくりの現場では至極、当たり前といえることでした。しかし藤永氏は、工作機械の異常が発生した場合、現場から報告を受けてから対応していれば、経営判断が遅くなり、かつその後の経営にも大きな影響が生じると考えたのです。また、現場担当が、多忙な中、手作業で記録する報告書や日報などでは、記録不備が発生する恐れは大いにあり、そうしたヒューマンエラーが積み重なり、表面上では「原因不明」とされる不良が発生している可能性も考えられました。

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