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県内企業に、デジタル化に留まらぬ「真のDX」を達成してもらう――茨城県DX推進ラボ

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茨城県DX推進ラボは、茨城県の技術革新課と県内DX支援事業組織である「ITコーディネータ茨城」(ITC茨城)、「公益財団法人日立地区産業支援センター」(Hitachi Regional Technical Support Center:HITS)をはじめとした産学官金さまざまな構成メンバーと連携してDX推進に取り組んでいます。

具体的には、県内企業が茨城県内にある豊富なDX推進のための支援メニューについて把握でき、かつ各構成メンバーもより効果的な事業の周知や企業への支援を実施できるように、下図のとおりステージに応じた構成メンバーのさまざまな支援メニューを集約し、「見える化」した情報を発信しています。

茨城県DX推進ラボ「県内企業のDXを推進させる取組」

茨城県DX推進ラボでは、経営者が「気づき」そして「学び」、「伴走支援」、「業務改革」と歩を進め、最終的に「企業のDX」を目指すというステップに基づいて県内の中小企業に寄り添いながらDX推進に取り組んでいます。ITC茨城やHITSなどに属するDXの専門家や、構成メンバーの強みを活かした、さまざまな支援を実施しており、上記の各ステージに応じた支援や優れた事例および取り組みの横展開を行うことで、県内企業のステップアップを図っています。

「DX=デジタル化」に非ず

日頃、ITC茨城やHITS がDXを推進していると、中小企業や、それを取り巻く関係機関のDXに対する理解不足、推進方法の理解不足を感じることが少なくなかったそうです。特に気になるのが、「デジタル化とDXの区別がついていないこと」。

「デジタル化」とは、「ITシステムやツールの活用をし、業務負荷の軽減や生産性の向上などの課題を解決すること」です。

「DX」とは、「データとデジタル技術を活用し、企業の事業価値を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。業務をデジタル化や自動化することそのもの、あるいはソフトウェアや機器などのツール自身を示しているわけではありません。

もちろん、DXを実現するにあたってはデジタル化も大事な取り組みであり、ツール自身の機能や役割も重要です。それに、DXを実現すると言うことは、一筋縄ではいかないことであり、いきなりDXを目指すべきだと言うことでもありません。しかし、企業自身のビジネスの活性や存続、もしくは地域企業振興の観点で効果を出す上では、DXとはどういうことなのかをまずは理解した上で進めていくことが大事になります。

茨城県DX推進ラボで複数のステージに応じた支援メニューを「見える化」したのも、そうした意図の顕れであり、その活動の中で、まずは特に経営者の方に対して「DXとは何なのか」「なぜDXを行う必要があるのか」といったことを理解してもらうことが大事であると考えているそうです。

まずはそうした理解を基盤に、自社のビジネスにおけるDXの目的を明確化し、その上でIoTやAIといったツールを活用して「どう効果を出していくのか」、地図を描くことが重要です。

県内DX支援組織で、セミナーや研修会、伴走支援まで一通りをサポートする

ITC茨城
NPO法人であるITC茨城では、県内のITコーディネータを中心とした集団を形成し、ITやデジタル化、DXを実践しての経営課題解決の相談や伴走支援に取り組んでいます。その活動として、ITコーディネータによる「企業コンサル」「講演・研修」「人材育成」の事業に加え、茨城県経営者協会が主催する「Ibaraki DX Community」事業のメンバーとして常陽銀行といばらき中小企業グローバル推進機構とともに「事業企画・運営」を支援しております。また、ITC茨城では「企業向け」と「行政・自治体向け」と2つの事業を実施しております。

ITコーディネータは企業の経営者に寄り添い、経営の目標や悩みなど、じっくり話を聞き相談に乗ります。そこでは時に侃々諤々としつつ議論して、DXのビジョンについて固めていきます。そうした議論に、時間をしっかりかけるのだそうです。

さらに「Ibaraki DX Community ユーザ会」では、⾝近な同じ企業規模のDX推進事例を共有してもらい、⾃社のDX推進の参考にしてもらえる機会を創出しています。

Ibaraki DX Communityでは、2023年度から「自走化」をテーマとしています。企業がDXを推進する上でのきっかけ作りとDX簡易計画作成(トライアル)までを無償とし、本格的なDX計画策定に歩を進めた以降は有償としていることが特色です。企業側は有償のフェーズに入ると「本格投資モード」ということになります。

Ibaraki DX Community事業の概要

HITS
地域産業の高度化・活性化を支援することを目的に設立された中核的拠点施設のHITSでは、「いばらきモノづくりDX 推進コンソーシアム」を形成。こちらでもラボ全体の方針のとおり、伴走支援、DX関連セミナーやハンズオンの開催、講師や専門家派遣、パートナーマッチングと一通りの支援を提供しています。HITSのコンソーシアムでは、伴走支援の専門家として、ITC茨城所属のコーディネータにも協力をもらっています。

HITSのDX伴走支援

2018年(平成30年)から、中小企業向けのIoT導入のハンズオン支援を提供してきました。2021年(令和3年)に事業名を「中小企業DX推進事業」と改称。HITSの伴走支援は、「自社の状況分析」「課題の明文化」「DXの方向付け」「計画・構想」といった流れの先で、実証実験トライアル(PoC)の実践や設備やシステムの貸し出しまでをカバーしています。また過去の中小企業支援実績に基づく、安価な汎用マイコンやモジュール、クラウドシステムやノーコードツール、オープンソースツールなどの知見や、自らの手でシステムを作りこむDIY的なDX実践などの提案も行っています。

さらに現在は施設内に、ITツールやDX実践に役立つ技術の展示や、来訪者がそれら技術を体験できるスペースを整備中です。
 

取組実績の横展開や広報、地域内の横連携のさらなる強化

推進ラボ全体としても、メンバーの事例の更なる横展開や周知が課題であり、今後推進ラボの知名度向上や企業が自社のステージに応じた支援メニューを活用できるように、ポータルサイトなどを活用した広報、構成機関の支援メニューを集約したスケジューラーの運用をしていくとのこと。

ITC茨城では、継続的な予算確保や、関連組織や地元企業との協力体制の強化、活動計画の仕方について各組織および組織内で議論を進められています。

HITSとしては、今後に向けて、実施例のデータベースへの追加や、実施例やセミナーなどを通じて他企業への横展開を具体的にどのようにしていくかを計画中です。

 

 


茨城県DX推進ラボは、茨城県の技術革新課が事務局となり、「コアメンバー」と「サポートメンバー」で構成。コアメンバーは主に伴走型のDX支援や企業相談活動を行い、サポートメンバーは主に事業情報の周知や企業情報の共有を行う。県内DX支援事業組織であるITC茨城、HITSはコアメンバーとして活動。県内企業の競争優位性の確立や新ビジネス創出などを図るため、伴走支援やメンバー間での連携などを通して、DXの実現に向けて取り組んでいる。

ラボの実施体制

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問い合わせ先
○茨城県DX推進ラボ全般について
 茨城県技術振興局技術革新課
 TEL:029-301-3579 E-mail:gijutsu@pref.ibaraki.lg.jp
○ITC茨城の事業について
 特定非営利活動法人ITコーディネータ茨城
 TEL:080-3090-8309 E-mail:ohkubo@itc-ibaraki.com
○HITSの事業について
 公益財団法人日立地区産業支援センター
 TEL:0294-25-6121 E-mail:ando@hits.or.jp

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