メイカーイベント「NT広島」開催

201922日(土)に「NT広島2019」というメイカーイベントを広島県の共催で開催しました。
 
※メイカーとは,個人で「ものづくり」をする人のことで,日本で製造業者を指す「メーカー」とは区別されて使われます。


1.NTとは
NTとは,NicoTech(ニコテック,ニコニコ技術部)の略で、ニコニコ動画で工作や技術等に関する「製作系」動画を作っている人達のことです。10年前から実際の展示が始まり,全国各地でNTのイベントが生まれました。
NT名古屋、NT京都、NT金沢、NT加賀などの展示会、海外のMakerFaireというメイカーイベントに共同出展するNT台北、NT深圳、NTシンガポールなどの活動を合わせると、過去10年間で50以上のNTイベントが開催されています。
201811月のMakeFaire台北に出展し,NT台北,NT加賀の中心人物と知り合った広島県民の方から広島県にNT広島開催の協力依頼があり,イノベーション立県を目指す広島県の目的と合うことから,広島県職員も運営委員会に入り,開催に至りました。
本イベントの主旨に賛同いただいた地元企業(システムフレンド,モルテン,NTT西日本,ネクストビジョン)やLINE,三井情報から協賛いただき,官民,地域のコミュニティ一体となったイベントとなりました。
 

 


広島県商工労働局イノベーション推進チーム長谷川課長の開会のあいさつ
 
 
NT広島では「(N)なんか(T)つくってみた」の意味も込められています。高い技術でなくても自分が作った作品をお持ちの方は誰でも出展でき,自分で作った物を見せ合い,自分が学んだことをシェアする場所です。
出展者にとって、自分の作品を発表する場があること、その場で来場者からのフィードバックをもらえること、他の出展者の作品から刺激を受けることなど、スキルアップおよび製作のモチベーションアップにつながります。
来場者(特に子供達)にとっては、「自分でも作れそう」「作ってみたい」と,「ものづくり」に興味を持つことにつながり,イノベーション人材の裾野拡大につながるものと期待しております。

 


2.概要

(1)展示物
会場は広島駅南口地下広場でした。
 

 
通常,メイカーイベントは,施設内で行われることが多いため,当たり前のことですが,来場者のほとんどは,メイカーイベントに来場することを目的とした人,つまりテクノロジーに興味がある方ばかりです。
一方で,NT広島は広島駅南口地下広場というオープンの場で開催しましたので,普段このようなテクノロジーに触れる機会の無い方にも,ものづくり,テクノロジーを身近に感じていただくことができました。
 

 

 

 
 
NTでは,個人とはいえプロ顔負けの技術・アイデアの展示も多く,「個人が趣味で作った工作」と高をくくっていた人も,実際に展示物を見ると目を見張っていました。
 
こちらは,個人製作のプラネタリウム。
完成度の高さと迫力に,来場者の方々から驚嘆の声が上がっていました。
 



 
NTの出展作品は大手メーカーやチームラボのように洗練された作品ではなく,最先端の技術ではないですが,元任天堂の横井軍平氏のいう「枯れた技術の水平思考」なアイデア溢れる作品や技術の無駄遣い的な作品など,個人でも面白いプロダクトを作れることを目の当たりにします。
一見近所のお兄さん,おじさんが作った作品に,来場者は,自分でも作ることができるかもしれない,自分もいつか展示してみたいと思い,実際に自分の手を動かしてモノを作る人間を増やし,ものづくりの裾野を広げることができると期待しております。
 





 
 
中学生の出展もありました。
これは,中学生が作った筋トレマシーン

 
このように,メイカーイベントはSTEAM教育の実践の場でもあります。
子供の自主性にまかせ,子供が自分のアイデアを形にするための過程(アイデアを出す⇒ 調べる 作ってみる 失敗する)を繰り返し,最終的に人前で自分の言葉で誰かに伝えてみることで大きな学びを得ることができます。
大人もいるオープンな場所で,多くの人からのフィードバック,他の出展者からの刺激,「これ君が作ったの?すごいねー」と大人に言われることで,次の作品製作へのモチベーションにつながります。
 
 
(2)登壇者
イベント会場には,ステージがあり,1日中トークセッションなどを実施しました。
 
スイッチサイエンスの高須正和さんと金沢大学の秋田教授
 
 
 
広島国際大学の石原教授
 

 
 
電子工作をするギャル2人組「ギャル電」
 

 
 
とてもアバンギャルドな外見ですが,「自分が楽しいと思うものを作ってみる」というメッセージはものづくりの原点をついていました。
 

 
「テクノロジーは楽しい」
 
 
(3)ツーリズムの可能性
出展者の約3分の2は広島県以外(東京,北陸,近畿,九州など)から来られていました。
中国の春節だったことから,深セン在住の方も登壇者,出展者,参加者あわせ最低3名は来られていました。
他のNTでもそうですが、全国・海外からわざわざNTのためだけに来られる方も多いです。その多くの方は,前日・翌日に広島市内,宮島,呉など広島を観光されていました。メイカーイベントのついでに旅行をする,メイカーイベントに出展するという言い訳に旅行するといったメイカーイベントツーリズムというのもありえるのかもしれません。
 
 
3.最後に
現在は、RaspberryPiなどのマイコン、センサー、クラウド、3Dプリンタが安価に利用でき、オープンソースのプログラムがネットで入手できる時代です。とりあえずプロトタイプを作ってみて失敗するコストが歴史上かつてなく低くなっています。
一方で,エンジニア不足、STEAM教育が重要だと言われます。子供の頃から、物を作る人がかっこいいと思われる環境、自分の作品を大人にすごいねーって言われる経験,そのような身近にものづくりに囲まれた環境を構築することが重要です。
メイカーイベントは,個人の趣味の枠を超え、STEAM教育につながり、エンジニアの裾野を広げ,イノベーティブな人間を増やすものだと期待しております。
 
なお,NTは,基本的にDIYDo It Yourself)のイベントです。豪華な講演者を呼ばなければ,会場使用料,机のレンタル費用程度で開催できます。IoTなどのものづくり人材の裾野拡大を考えている方は,メイカーイベント開催も選択肢の1つになるのではないでしょうか。
 

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